重度のむし歯を残す、「矯正的挺出」とは①

こんにちは、ささき歯科医院 歯科医師の佐々木俊です。


今回は、重度のむし歯をどうやって治療しているのか、当院での取り組みをご紹介します。


むし歯の治療といっても、樹脂の材料を詰める1回の治療(コンポジットレジン修復)で済むものから、何回か治療してようやく歯を残せる程度のものまで様々です。


むし歯の治療の難易度は、「むし歯を削り取って、健全な歯の厚みがどのくらい残るのか?」に大きく左右されます。


下のイラストを見てください。上の歯と下の歯では、それほど違いがないように思うかもしれませんが、治療の難易度は大きく違うんです。

どちらが難しいか、分かりますか?

正解は下の歯です。

下の歯は、むし歯を取り切ると、残っている健全な部分は全て歯ぐきの中に埋もれてしまいます。


この状態では、仮に無理に土台を立てて被せたとしても、土台ごと外れてしまいやすいばかりか、歯ぐきの炎症(赤く腫れること)を引き起こしたままになってしまい、長く歯を残すことは難しいのです。


このような歯を保存するための治療として、「矯正的挺出(エクストルージョン)」という手法があります。


矯正的挺出とは、歯を動かす力により、歯ぐきの中に埋もれている部分を引っ張り出し、冠を被せられる環境を整える治療です。

下のイラストのように、多くの場合、両隣の歯に装置を接着し、ゴムの力で歯を引っ張り上げます。



むし歯の深さなどに左右されますが、およそ1~2か月ほどかけて歯を引っ張り上げます。

歯と一緒に歯ぐきも一緒についてくるため、外科処置で歯ぐきの高さを整えます。

抜歯やインプラントに比べ、体へのダメージは少ない処置ですので、処置後の痛みや違和感は非常に少なく済むことがほとんどです。

その後、歯ぐきが引き締まるのを待って、土台を立てて冠を被せれば、治療終了となります。ゴムで歯を引っ張り始めてから被せるまで、3か月から半年ほどの期間が必要です。


通常であれば抜歯になるような歯を保存できるため、素晴らしい治療のように思われるかもしれませんが、引っ張り上げることにより歯根は少し短くなり、噛む力を支える能力は弱くなってしまいます。


このように、むし歯は進行すればするほど、治療回数もかかりますし、長持ちするための条件を徐々に満たさなくなっていきます。


一番いいのは、このようになる前、なるべく歯の状態がいいときにしっかり治療し、定期的なメインテナンスでいい状態を維持していくことですね。

定期的な受診によって、どれだけ歯を長く守りやすくなるかについては、また別の機会にご説明しようと思います。


次回は、矯正的挺出の実際の治療例と共に、どういう治療なのか詳しく解説したいと思います。






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